マフィア映画の力

優秀な映画とはなんであろう。いかに映像が綺麗なものか、いかに音楽の使い方がうまいか、いかにストーリーが秀逸なものであるか。わたしは思う。映画にとって、最も重要な要素とは、どれだけ観客がその登場人物に自己を投影でき、そのことに没頭できるかだろう。フィクションから現実のわたしたちに対して発揮する、影響力の幅だといっても良いだろう。その影響力が強ければ強いだけ、観劇後の満足感は増すのではないだろうか。良作の映画を見た後の観客は、映画館を出てもなお、自身がその映画の登場人物でいられる。アクション、映画ならば、ヒーローに、ラブストーリーならば恋する者へと、なることができるのだ。わたしはふだん、ふつうの会社員としての生活を送っているが、休日はもっぱら、映画館へと足を運ぶ。観るのは決まってマフィア映画だ。私生活に対する不満が溜まっているのかもしれない。マフィア映画を見たあとの爽快感は大変心地よいのだ。マフィア映画を観たあと、他の観客たちを見ると、やはり自分と同じ感覚に入っているのではないかと思わされる者をたびたび見かける。その評定は、目がすわっていながら、どこかすっきりした、そんな表情だ。きっと、関係の無い人間から見れば、とても気味の悪い状態かもしれない。だが、わたしには、マフィア映画を観る習慣が大切なのだ。これからもたくさんの、映画が作られていくのだろうが、ぜひこんなわたしたちの私生活に深く介入してくるような作品が多く作られることを、願う。

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